小沢氏「検察と戦う」、首相「戦ってください」 異常事態、批判に同調(産経新聞)

 ■最高権力者に潜む危うさ

 鳩山由紀夫首相は16日、「(検察と)戦っていく」と宣言した民主党の小沢一郎幹事長の続投を認めたばかりか、「小沢氏を信じています。どうぞ戦ってください」と検察当局との全面戦争を容認した。行政の長である首相が、行政機関の一つでもある検察批判に同調することは極めて異常な事態と言わざるを得ない。首相は野党時代、検察当局の捜査を「国策捜査」と批判した過去もあり、最高権力者としての資質が問われている。(船津寛)

 「小沢氏に殉じるときは殉じますよ」

 昨年3月、党幹事長を務めていた首相は民放番組でこんな言葉を口にした。当時の党代表だった小沢氏の身に西松建設からの違法献金事件がふりかかり、衆院選を5カ月後に控えた党内から代表辞任を求める声も出ていたころだ。

 首相の「殉じる」発言は窮地に陥った代表を支えるための素直な気持ちだったのだろう。首相は番組で「国民の目は厳しいねという判断が下された時は『2人ともその時は責任をとろうじゃないか』と2人の間で約束している」と打ち明けている。小沢氏と自分は運命共同体だ−。そんな心境だったのではないか。

 だが、今はこの国の最高権力者だ。同じ思いを抱き続け、それが幹事長続投容認や検察批判への同調につながったのならば、問題の根は深い。

 そもそも今回の小沢氏をめぐる疑惑は、小沢氏自身の資金管理団体の土地取引をめぐる不透明がカネの流れが焦点になっている。東京地検特捜部に逮捕された一人は、小沢氏の資金管理団体の会計担当者も務めた現職の党所属議員だ。

 野党時代に政権与党の「政治とカネ」の問題を追及し続けた首相ならば、少なくとも小沢氏から詳しい説明を求めるべきだろう。かつて首相は他党の議員の疑惑に対し、「議員の分身といわれている会計責任者の逮捕は議員本人の責任だ」と夕刊フジコラム(平成14年5月2日付)で書いたこともある。そうであるならば、小沢氏の議員辞職を促すのが筋ではないか。

 特捜部を含む検察庁は、行政機構上、法務省の一機関に位置付けられている。その法務省の長である法相は検察当局への指揮権を持つ。実際の指揮権発動には慎重な配慮が必要だろうが、その法相に指示できるのは唯一首相だけだ。

 そうした立場に立つ首相は、過去にも検察の捜査に批判の目を向けていた。昨年の西松建設事件では、党幹事長として「国策捜査のような雰囲気がする」と感想を述べている。

 この発言は当時、物議を醸し、首相就任後は「国策捜査という言葉を1度使ったことに対する反省を含めてその言葉を遠慮している。(首相は)そのような立場だと理解してほしい」(9月16日の就任会見)と釈明した。

 今回の事件の捜査段階で首相は基本的に「コメントは控える」との姿勢を続けてきた。それが一転、小沢氏の側近議員が逮捕された途端に封印してきた検察当局への思いを解き放ったかのようだ。首相は就任会見で語った自らの立場を忘れたのだろうか。

 首相自身も小沢氏同様、「政治とカネ」の問題を抱える。昨年末、自らの資金管理団体の偽装献金事件で元公設秘書2人が起訴された。こうした状況で、首相が小沢氏の検察批判に同調したのは、自らの事件も念頭にあると勘ぐられても仕方あるまい。

 「首相は小沢幹事長と一蓮托生になることを覚悟した」。民主党若手は首相の発言をこう受け取った。多くの民主党議員も同じだろう。首相がその重大さを覚悟しているのだろうか。

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